政党支持率調査から何が分かるか

情報発信・社会的影響

日本共産党の支持と選挙結果

2026年10月21日時点

NHKの2026年10月調査では、日本共産党の支持率は2.6%だった。前月の2.5%から0.1ポイント上がったが、この差を支持拡大の証拠とすることはできない。一方、この小さな増減を判断できないことと、共産党の支持の規模や他党との関係まで分からないこととは異なる。支持率調査と選挙結果は、それぞれが測る対象と精度を区別して読む必要がある。

政党支持率は、調査回答者のうち、普段どの政党を支持すると答えた人がどれほどいるかを示す推定値である。最新調査の回答者は1,184人であり、共産党支持という回答は、重み付けなどを無視して単純換算すると約31人分に相当する。これは実際の支持回答者数を確認した数字ではないが、数人の違いで支持率が動く規模であることを理解する助けになる。

単純無作為抽出を仮定した参考計算では、支持率2.6%・回答者1,184人の95%水準の誤差幅は約±0.9ポイントとなる。実際のNHK調査の正式な誤差幅ではなく、抽出方法や重み付け、回答しなかった人による偏りなどをすべて表したものでもない。それでも、前月比0.1ポイントをそのまま社会全体の支持の変化と読むことが難しい理由は分かる。統計的有意性とは、想定した調査モデルの下で、観測された差を偶然の標本変動だけで説明しにくいかを判断するためのものである。有意差を確認できないことは、変化が全くないことの証明ではない。

同じ調査には、自民党35.3%、共産党2.6%という32.7ポイントの差がある。この隔たりを、前月比0.1ポイントと同じ不確かさで扱うことはできない。今回収集した2018年以降の105回の調査では、自民党と共産党の掲載値の差はすべての回で21.0~39.3ポイントだった。差の幅は変化しているが、大きな隔たりが続いていることは明瞭である。これは、各党の支持率を縦に追うだけでなく、政党間の横の関係を経年で確認することの意味である。

ただし、最新調査の立憲3.0%、維新・国民各2.7%、共産・参政各2.6%という小差について、掲載順をそのまま確かな序列とすることはできない。比較するなら、同じ調査における二党間の差を取り、その大きさと持続性を調べる必要がある。

共産党の全体支持率を、各月のアーカイブ掲載値から単純平均すると、次のようになる。

年共産党支持率の平均
2018年2.97%
2021年2.90%
2024年2.55%
2025年2.36%
2026年1~10月2.55%

これはNHKが公表した年平均ではなく、本レポートの集計値である。選挙期の調査を含み、2026年は年途中である。また、2022年7月には固定電話と携帯電話の目標回答数比率が5対5から4対6に変更されている。この表だけで年ごとの差の有意性を判定してはいない。それでも、支持が年平均でおおむね2~3%の範囲にとどまり、自民党との大きな隔たりを縮めるには至っていないこと、最近の推移を一方向の急落とは呼べないことは読み取れる。

年代別では、数値表を取得できたのは2025年2月~2026年10月の21か月分である。18~39歳と80歳以上の数値を比較できる18か月のうち、17か月で80歳以上が上回っていた。若年層で相対的に支持が弱いという見方は、最新の0.7%だけに依存したものではない。ただし、各年代の回答者数が不明なため、個々の月の差の有意性は判定できない。「―」をゼロに置き換えてもいない。2025年7月は若年層の区分が異なるため合算せず、比較から除いた。

さらに、この結果だけで「支持層の高齢化が進んだ」とはいえない。年代別支持率は、その年代の人のうち共産党を支持する割合であり、共産党支持者の年齢構成ではない。高齢化の進行や同じ世代での支持低下を確かめるには、もっと長期の年代別数値や人数が必要になる。今回の同月比較では、80歳以上の平均は前年より低かったが、60代・70代は小幅に高かった。高齢層全体の一様な支持低下も確認できていない。

選挙結果に目を移すと、後退はより明確である。候補者の有無や選挙協力の影響を受ける小選挙区と区別して、同種の選挙の比例代表を比較すると、次の結果になる。

選挙共産党の比例得票数比例得票率
2021年衆院選約417万票7.25%
2024年衆院選約336万票6.16%
2026年衆院選約252万票4.40%
2022年参院選約362万票6.82%
2025年参院選約286万票4.84%

衆院選では2021年から2026年に約165万票、約40%減り、2024年との比較でも約84万票、約25%減った。参院選でも前回から得票数と得票率がともに低下している。

この減少は、標本調査の誤差によって減って見えたものではない。実際に投じられた票の集計であり、獲得票が減ったこと自体は確認された事実である。ただし、選挙ごとに有権者や投票参加者は変わるため、減った票数をそのまま「前回支持した人が離反した人数」とすることはできない。どの層が棄権し、どの党へ移り、新しい有権者がどこを選んだかは、別の調査を必要とする。

政党支持率と比例得票率には、質問と分母の違いがある。普段は支持政党を持たない人も選挙では共産党に投票し、共産党支持者でも棄権や別の党への投票がありうる。比例得票率の分母は比例代表の有効票であり、投票しなかった人は含まれない。したがって、支持率2.6%を次の選挙の得票率とみなすことも、得票率が支持率を上回る分をすべて無党派層からの上積みとみなすこともできない。

実際、選挙前のNHK調査では2024年10月も2026年1月も共産党支持率は2.5%だったが、その後の衆院比例得票率は6.16%と4.40%だった。投票日までの間隔も異なり、この二例から一般的な換算式は作れないが、同程度の支持率が同程度の選挙結果を保証しないことは分かる。

以上から、現在の共産党は、普段支持する政党としての広がりが限られ、自民党との大きな支持率格差が続くなかで、選挙で獲得する票も減らしてきたと評価できる。「2%台を維持している」ことだけで支持基盤が安定しているとはいえず、単月の0.1ポイントの上昇を回復の兆しとすることもできない。

若年層での相対的な弱さは、支持を広げ、世代を越えて維持するうえでの課題を示している。しかし、それが得票減の原因であるとまでは確認できない。固定的な支持者が減ったのか、選挙時に選ぶ人が減ったのか、投票参加が変化したのかを分けて検証する必要がある。政党支持率は支持の規模と政党間の関係を、選挙結果は実際に獲得した票の増減を示す。両方の資料が示す厳しさを認めつつ、原因については未確認の説明で埋めないことが、現状を捉えるための出発点となる。

資料上の範囲:月別ページは2018年1月~2026年10月の106か月分を確認し、全体支持率105回分を取得した。2019年10月は台風19号の影響で調査中止。2018年~2025年1月の共産党の年代別の正確な数値は今回の閲覧範囲では未取得であり、NHKが他の資料でも公表していないと断定するものではない。単純集計PDF全件、追加の選挙前調査、個票データの全件分析は行っていない。


調査資料 調査・集計日:2026年10月21日|出典:NHK選挙WEB

共産党の支持率は、どの年代で変化しているか

取得できた年代別数値は2025年2月~2026年10月の21か月分。

この範囲では、若年層に持続的に支持が広がったとは確認できない。ただし、高齢層の支持が一様に低下したともいえない。10年規模での支持層の高齢化は、今回の資料だけでは検証できない。

1.収集できた範囲

2018年1月~2026年10月の月別アーカイブ106か月分を閲覧し、本文の全体支持率、掲載画像、政党支持率の分析欄、調査概要を確認した。全体支持率は105回分。2019年10月は台風19号の影響で調査中止と明記されている。

共産党の年代別数値を転記できたのは2025年2月以降の21表である。2018年1月~2025年1月の85か月は、今回閲覧した月別ページからは共産党の年代別の正確な数値を取得できなかった。一部の月には年代別の積み上げ棒グラフがあるが、共産党の数値が表示されていないため、棒の幅からの推計は行っていない。これは「NHKがその期間の年代別データを一切公表していない」という意味ではない。リンク先の単純集計PDF全件、別の調査報告、追加の選挙前調査は今回の全件精査の対象外である。

2.年代別支持率の推移

いずれの年代も月ごとの上下が大きい。例えば18~39歳は2025年8月、2026年8月とも4.0%だが、2026年10月は0.7%である。直近の0.7%だけを起点に、長期低下や支持者の大量流出を断定することはできない。

同じ月で比較した参考集計

季節や選挙時期の違いを少しでも抑えるため、2025年と2026年の2~10月から、両年に数値がある同じ月だけを対応させて単純平均した。原表「―」と区分変更の月は、該当年代について両年とも比較から除いた。

区分比較月数2025年平均%2026年平均%差・ポイント採用月
全体92.502.56+0.062・3・4・5・6・7・8・9・10月
18~39歳62.272.15-0.124・5・6・8・9・10月
40代51.061.50+0.442・3・4・7・9月
50代81.712.48+0.762・3・4・5・7・8・9・10月
60代92.002.12+0.122・3・4・5・6・7・8・9・10月
70代93.203.38+0.182・3・4・5・6・7・8・9・10月
80歳以上94.793.96-0.832・3・4・5・6・7・8・9・10月

調査回答者を合算した支持率ではなく、月別公表値の単純平均。年代ごとに採用月が違うため、この表の平均値どうしを使って年代間の厳密な大小や支持者構成比を計算することはできない。数値がある月に限定した選択の偏りも残る。有意差の検定は行っていない。

確認できたこと
  • 18~39歳は比較可能な6か月で2.27%から2.15%。今回の範囲で、持続的な支持拡大を示す結果は得られていない。ただし、支持拡大が全くなかったと証明したものでもない。
  • 60代は2.00%から2.12%、70代は3.20%から3.38%。少なくともこの9か月ずつの比較から、高齢層全体で一様に低下したとはいえない。
  • 80歳以上は4.79%から3.96%で、約0.83ポイント低い。原表がそろう同月比較で低下がみられるが、標本変動の範囲を超えた低下かは判定できない。
  • 全体支持率の同じ2~10月の平均は2.50%から2.56%。2026年10月の年代差だけから、党全体の支持が前年より崩れたとはいえない。
解釈と、まだいえないこと

今回の結果は、「若年層で安定的に支持を補えているとは確認できず、80歳以上の動きは別途注視する必要がある」という見方とは整合する。しかし「支持層の高齢化が進行した」「かつて支持していた世代が離反した」「若者が特定の別の党へ移った」という説明は、この集計だけでは確定できない。

年代別支持率は、その年代の回答者のうち共産党を支持すると答えた割合であり、共産党支持者のうち各年代が何割を占めるかではない。後者を求めるには年代別の人数や人口構成などが必要である。また同じ出生世代を追うには、例えば2018年の60代と2026年の68~77歳に相当する層を対応させる必要があるが、今回の10歳刻みの表では厳密な対応ができず、2018年の年代別数値も未取得である。

3.年代別原表の転記一覧

単位は%。「―」は原表にある記号をそのまま維持。「区分変更」は計算しなかった項目。各月と「原表」からNHKの資料へ移動できる。

年月全体18~39歳40代50代60代70代80歳以上画像出典
2025-022.2—0.81.81.02.05.5原表
2025-031.81.20.61.20.52.63.8原表
2025-042.10.71.51.14.22.82.8原表
2025-052.62.00.81.12.34.24.8原表
2025-061.93.2—1.92.02.13.0原表
2025-073.0区分変更0.92.02.44.06.5原表
2025-083.44.02.32.52.32.87.4原表
2025-092.92.21.51.52.13.55.9原表
2025-102.61.50.72.51.24.83.4原表
2025-112.60.71.42.2—5.92.5原表
2025-121.91.2—1.80.52.05.5原表
2026-012.52.12.7—1.72.75.7原表
2026-022.92.11.52.90.54.93.6原表
2026-032.2—3.23.41.03.02.6原表
2026-042.61.50.81.21.34.94.5原表
2026-052.72.0—1.62.14.16.1原表
2026-062.63.2——3.32.93.8原表
2026-071.51.61.20.60.20.62.8原表
2026-083.44.0—2.34.13.65.8原表
2026-092.51.50.84.52.53.62.5原表
2026-102.60.7—3.34.12.83.9原表

2025年7月の若年層は18~29歳1.9%、30代1.6%。両層の回答者数が必要なため、18~39歳の値を単純平均していない。

4.全体支持率の長期推移

年取得回数平均%集計期間・欠測
2018122.971~12月
2019112.9510月中止
2020122.521~12月
2021122.901~12月
2022122.711~12月
2023122.451~12月
2024122.551~12月
2025122.361~12月
2026102.551~10月

2018年の掲載値平均2.97%に対し、2023年2.45%、2024年2.55%、2025年2.36%、2026年1~10月2.55%。全体として2018年より低い年が続く一方、毎年一方向に下がっているわけではない。2026年は年途中のため通年平均と同条件ではない。これは本分析の単純平均であり、NHKが発表した年平均ではない。

5.調査方法と欠測の扱い

  • 調査対象は全国18歳以上。固定電話と携帯電話へのRDDによる電話調査。2018年以降の対象範囲はこの点で共通する。
  • 2017年4月から携帯電話を追加。今回の対象期間より前の変更である。
  • 2022年7月から、固定電話・携帯電話の目標回答数の割合を5:5から4:6に変更。長期推移の前後比較では、標本構成変更の影響も考慮する必要がある。
  • 月別ページのリンク先が選挙期の調査に接続する場合がある。例えば2019年7月は「参院選調査(2週前)」、2024年10月は衆院選トレンド調査。月別リンク掲載値として収録し、追加調査を同じ月に重複算入していない。全件を同一規模の通常月例調査とは扱わない。
  • 年代別表では通常、18~39歳、40代、50代、60代、70代、80歳以上。2025年7月だけ18~29歳と30代に分割されている。
  • 年代別の原表「―」は11セル。意味を確定できていないため、0%として代入せず、欠測と区別して記録した。今回の21表に、共産党年代別の数値として「0.0」と印字されたセルはない。
  • NHKは層別分析について各層100人以上を目安とすると説明しているが、これらの表には年代別回答数が付されていない。各月・各年代の精度や有意差は算出できない。
  • 全体支持率から年代別支持率を復元しない。別調査の出口調査・比例投票先を「普段支持する政党」と接続しない。欠測月の補間も行わない。

一次資料:NHK「世論調査 調査方法を詳しく」 / NHK選挙WEB(2022年7月の変更・層別分析の注記)

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